声優への登竜門として一般的なのが、声優事務所直営の養成所に入ることです。
憧れの声優がいる事務所や活躍している人が多い特定の事務所を目指し、その事務所が運営する声優養成所を目指す人も多いでしょう。
けれど、それが正解なのかどうかを考えてみたいと思います。
実力があるからといって、声優事務所に所属できるとは限らない
まず、前提として養成所のレッスンをしっかり受け、発声や活舌、アクセントも問題無いレベルになり、演技もそこそこできるようになったとしましょう。
養成所でも上位の成績だとします。
それなら絶対に所属できるのかといえば、そんなことはありません。
皆さんが頭で思い描く有名な事務所になればなるほど「そのくらいの実力ならいらない」「似たような声質・キャラの声優がもう何人も所属しているからいらない」と、”事務所に所属できる”ハードルがどんどん上がるのです。
それでも毎年何人かの新人が所属していますが、そういう人は
- すでに所属している声優にはない声質・魅力がある
- 芝居に対する勘がずば抜けていい
- 面白そう、売れそうなオーラがあるなどで経営陣やマネージャーの心を掴んだ
の全てを満たす稀有な存在なのです。
しかしそれでも芽が出ず、数年で去っていく(クビになる)人がたくさんいます。それだけ厳しい世界なのです。
レッスンを真面目に受けていても、演技が良くなければ所属できないし、良い演技が出来ても経営陣やマネージャーから好感をもらってもらえなければ(気に入られなければ)所属はできません。さらに、今は顔だし必須ですから、「一般的に好まれるルックスかどうか」という点も加味されるでしょう。
レッスンをがんばれば声優になれる、上手ければ声優になれる、かわいければ(かっこよければ)声優になれる、というわけではないのです。
A事務所はだめでも、B事務所はあなたを欲しいかもしれない
声優養成所のレッスン生を事務所に所属させるかどうかは、社長やマネージャーが話し合って決めます。小さな事務所だと社長の独断ということもあります。また、そこに力のあるベテランの大物声優が所属していている場合、そういう人の意見を無視できないこともあります。
けれど、どの人も皆人間ですから、「私はこの子がいいと思う」と思った声優の卵が絶対に売れるわけではないし、「この子はちょっと難しいかも」「うちにはいらない」と思われた声優の卵が、他の事務所に所属して芽を出し、売れっ子になることもあります。
もし、Aの声優事務所では所属できなくても、Bの声優事務所では「君みたいな子が欲しかったんだよ」と言われる可能性があるのです。
けれど、A事務所の声優養成所を選んでしまうと、A事務所の「うちに欲しいか」「欲しくないか」というジャッジしか受けられません。
それでA事務所に所属できれば超ラッキーですが、所属できない可能性のほうがずっと大きいのです。
けれど、その時のあなたをB事務所の社長やマネージャーが見ていたら「うちにおいで」と言われるかもしれません。
声優事務所直結の養成所を選ぶということは、そういう選択までゆだねるということでもあるのです。
増えてきた”ドラフト制”声優養成所
そう考えると、「せっかく声優の勉強をして自分を磨いてきたのだから、チャンスは1回でも多いほうがいいし、多くの事務所に所属できるチャンスが欲しい」と思いますよね。
それが当然です。
それをかなえるのが、ドラフト制の声優養成所です。
例えば、アミューズメントメディア総合学院や総合学園ヒューマンアカデミーの声優コース、専門学校なら代々木アニメーション学院や日本工学院専門学校などでは、卒業時に声優事務所のマネージャーをたくさん招いてプレゼンし、それを見たマネージャーから「うちにこない」と声をかけてもらえる形式を取っています。
これなら、「自分を欲しいと思ってくれる」事務所を効率的に探せる(見つけてもらえる)ため、声優事務所に所属できる率がぐっとアップするのです(実力があれば)。
ただし、自分が狙うあの事務所からは声がかからないかもしれません。しかし、もし声がかからなかったのなら、その事務所はあなたを求めていない(もしくは、今のあなたの実力では所属できない)ということになります。
声優として活躍したいなら、若ければ若い方がチャンスは多いし、若い方がいろいろなことに挑みやすく、そして吸収もしやすいです。
希望とは違うけれど声をかけてくれた事務所に入り、そこで自分を磨いて実績を作り、事務所を変わるという手もあります(もしかしたら、最初に入ったその事務所が気に入り、相性が良くて「ここに入って正解だった」と思えるかもしれません)。
最初に入った事務所がゴールではないのです。
声優事務所に所属するには、いろいろな方法がある
声優事務所はたくさんあります。
最初から「ここに入りたい」と1ヵ所を目指し、その事務所直営の養成所に入って自分を磨いて所属試験に挑戦するのもアリですし、少しでもチャンスを増やすためにドラフト制の養成所や専門学校を選ぶのもアリです。
どれが正解で間違いかなんてわかりません。
しかし、もしあなたがすでにいくつかの養成所を渡り歩いていたり、もしくは違う仕事をしていたけれどやっぱり声優を目指そうとしている場合、それなりの年齢になっているでしょう。
その場合、悠長に「じゃあ次は〇〇事務所の養成所に……」とやるより、自分を欲しいと思ってくれる事務所があることに賭けて、1回で数十社のマネージャーに見てもらえる方法を選んだほうが賢いのではないかと思います。
使う方(採用する方)も、できるだけ若いほうが使いやすいし、若い方が柔軟性が高いからです。もしあなたが20代半ばを過ぎているなら、あまり猶予はないと思った方が良いでしょう。
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