男性だったら張りのあるバリトン、女性だったら鈴を転がすようなソプラノ。
一般的に「いい声」「きれいな声」だと言われる人は、声優になるのに有利なように感じますが、本当にそうなのでしょうか。
実は、「褒められない声」のほうが、声優になれる可能性が高いかもしれません。
”いい声”は飽和状態、”いい声じゃない”ほうが隙間を狙える
いわゆる”いい声”、褒められる声質の人は、
「声を褒められることが多いから、声を使った仕事が向いているかも」
「いい声だと言われるから、声優を目指そうかな」
と、褒められれたことがきっかけで「この道もアリかもしれない」と思うことがあります。
もちろんそれ自体は間違いではありませんし、生まれ持った武器を使って仕事をしようと思うのは、ある意味賢いと言えます。
けれど、声優業界に限っては、「いい声だと逆に難しい」のです。
というのも、「いい声」を持っているから声優を目指す人は昔からとても多く、すでに声優業界には「いい声」が飽和状態。
特にアニメでヒロインやお姫様にキャスティングされるようなソプラノボイスの女性声優は本当にたくさんいて、そこに無名の新人が潜り込んで仕事を勝ち取っていくのは本当に難しいのです。
まだ10代や20代前半の若くて見た目もそれなりにいい子ならまだチャンスがあるかもしれませんが、20代半ば以降になるとかなり難しいというのが実情です。(現代の声優は見た目も非常に大切です)
むしろ、「いい声」とは言われにくいような声で声優を目指す人のほうが少ないので、そちらのほうがチャンスがあると言えます。自分と似た素材が少ない(いないかもしれない)ので、実力さえつければ「あの珍しい声の人」と覚えてもらいやすく、キャスティングしてもらえる可能性が高いのです。
だから、もしこの記事を読んでいるあなたが
- 割れたような声(いわゆるだみ声)
- 女の子のような声の男性
- 男性に間違えられそうな低い声の女性
だった場合、ライバルがあまり多くないので「いい声」の人より声優になれる・仕事が取れる可能性が高いのです(もちろん、しっかりレッスンを受けて発声や活舌といった基本をクリアし、演技ができること、という最低ラインを超えてからの話ですが)。
”いい声”でも声優になれないわけじゃない
かといって、いわゆる「いい声」でも声優になるのが不可能なわけではありません。
むしろ、”いい声”は一般的に好まれ声質なので、ナレーションや朗読などの仕事の絶対数は多いです。ただ、ライバルもとても多いという話です。
ですから、「いい声」なだけを武器にしては印象に残らないし埋もれてしまいます。
「地声はいい声だけど、こんな声も出る」とバラエティの多さをウリにしたり、「声の表現以外にも、こんなことができる」という特技の多さ、珍しさをウリにして覚えてもらうしかありません。
その”特技”が受けて(印象に残り)、特技目的で現場に呼ばれる(キャスティングされる)こともあります。実際にそういう例をいくつか知っています。
それでも、それはそれで1本仕事を獲得したわけですから、声優として成功なのです。そこから「演技もいいね」「次の現場にも読んであげよう」に繋がればいいのですから。
ですから、自分という人間を磨き、一つでも多くの「人前で披露できる特技」を身につけてください。速読とかタイピングが早いとかそういうのじゃだめです。そんな特技では「おもしろそう」「現場に呼ぼう」にはなりません!
歌が上手い、踊れるも、できたほうがいいに越したことはないのですが、歌えて踊れる声優はもはやたくさんいます。「これを特技にしている声優っていなくない?」というのを見つけて、声優の訓練の傍ら磨いておきましょう。
じゃあ何がいいのかと言えば、簡単なのは「自分の好き」や「興味があること」「得意なこと」を伸ばしていくことですが、そのためには「自分を知る」ことが大事です。
そして、「自分を知る」ことは演技にも、これからの人生にも広い意味で役立ちます。
自分を知る(=自己分析)ってどうやればいいんだろう?という人は、まず自己分析の本でも読んでみましょう。声優を目指しているわけですから、あらゆる活字に触れることはとても大切。マンガ・ライトノベル以外の本もたくさん読みましょうね。
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