【商業BL小説レビュー】『黒豹王の寵愛マーマレード』葵居ゆゆ

豹頭のジェントルマン王様攻め×不幸な生い立ちの強気ピュア受け

 

溺愛ラブラブ、甘々

異国プチ異世界、魔法なし、ちょっと中世

ほっこりほんわか、読後やさしい気持ち

濃厚エロ

きみが私を好きになってくれるよう、努力する機会をくれ。

養父に売春させられそうになったリノを助けてくれたのは、偶然街案内をしてあげた黒豹頭のマウリシオ。彼の正体はなんと王で「きみを好きになったんだ」と後宮にとどまってほしいとリノに求婚してきた。戸惑うリノだが、二百日の約束でマウリシオとともに過ごすことに。日々真摯に愛をささやくマウリシオに頑なだったリノの心は次第に解けていくが……。甘くとろける溺愛ラブ

人外?豹頭の王と貧乏な青年の純愛BL

カバー絵を見たときにちょっとびっくりしたんですが

人外だーーー!!!!

獣系だーーーー!!!

最近増えてる半獣オメガバース!?

とワクワクしながらあらすじをのぞいてみると、どうやらオメガバースではないらしい。しかも、人外でも半獣でもない……?

なんだろうと思いつつ、「葵居ゆゆさんの作品だから、失敗はないだろう!」とポチってみました。

が、これがすごーく良かった!!!

人外とか半獣とかそういうの関係ないくらい、激甘ピュアッピュアな純愛BLで、読んでて心がとろけました……

 

主人公のリノは17歳。父親の顔も名前も知らず、娼婦をしていた母親はすでに他界し、今は義父のもとで暮らしています。けれど義父はリノに冷たく、母親が父親の分からない子供を産んだこと、娼婦だったことから村の人たちからも蔑まれて成長しました。

学校に通ったこともなければ友達もいないリノが唯一得意とするのは、亡き母から教わった苦いオレンジを利用するマーマレード作り。広場で観光客を相手に、果物とマーマレードを売るぼったくり商売をして日銭を稼ぎながら、いつか父親がいるかもしれない他国の学園都市へ行くことを夢見ています。

リノが暮らす国は長年強大な王国に支配され、その王国の身分の高い人は豹の頭を持ち「豹頭」と呼ばれていました。ある日、広場で果物を売るリノの前に豹頭の男が現れ、オレンジとマーマレードを買い求めます。それがきっかけで豹頭から「街を案内してほしい」と頼まれるリノ。

実は、その豹頭は国の新しい王で……

という、身分差BL!

豹頭ってすごい設定だなと思ったのですが、これがあまり不自然でなく、けっこう良かったんです。

超紳士、めちゃくちゃ優しいできた男、マウリシオ

攻めは豹頭で若き王様のマウリシオ。高貴な身分だけれど奢ったところも偉ぶるところもまったくなくて、とても公平かつ優しい、すごくよく出来た男です。

そして、受けのリノにものすごく優しい……

物語中盤から、とある事情がありリノは王宮で暮らすことになるのですが、リノだけでなく、臣下や後宮に暮らす女性たちにもマウリシオは優しくて、すごくいい!!!

理想の攻め様です。

なのに、リノにベタ惚れで、その惚れっぷりを隠すことなく堂々と振る舞うのですが、この「惚れてる気持ちを隠さず堂々」が、ぜんぜん鼻につかなくて、自然で、「いいなあ~~~!!!!」って思ず言葉が漏れるくらい、スマートなんです。

10年くらい前の世間に出回っている一般的なBL作品にもそういう攻め様よくいましたよね。なんていうか、やりすぎっていうか、人の目を気にしなさすぎっていうか、ちょっと失笑してしまうところもあったのですが(でも、BLはファンタジーだからなあってみんな無言で流してた)、マウリシオはほんとスマートで、ザ・令和攻め!

文中に「豹頭」と出てきたリ、挿絵が入ったりしなければ、マウリシオが人間と見た目が違うということを忘れるくらいでした。

そうそう、その「豹頭」なんですが、耳で気持ちを表すような描写があって、そこがすごくほっこりして良かったです。

獣系ならではの良さが楽しめました。

強気で純粋なリノもかわいい

蔑まれて生きてきたリノですが、卑屈になることもなく、ひたすら働いて淡々と生きています。けれど商売人らしくちょっとずる賢いところもあり、でもやりすぎたときは素直に謝ったりとか、17歳という年齢の”すれてない”ところもあって、好感が持てました。

基本的に強気なんだけれど、その強気もやりすぎるほどではなくて、「卑屈で泣く従順でもなく、ちゃんと自分の意思を持った17歳の男の子」がそこにいて、いい感じにリアリティがあります。

今までも友達すらいたことがないリノがだんだん豹頭のマウリシオに惹かれていく様子もほんとうにかわいくて、

「ああ、リノ、好きーーーー!!!!」

と、たまらなく愛しくなりました。マウリシオの気持ちが分かる……!

とても魅力的なカップルです!

素晴らしすぎる絡みも堪能♪

BLにはお約束のエロももちろん、あります!

葵居ゆゆさんの書かれる絡みって本当に濃厚で、なにかが滴ってくるのが見えるかのような「絶品」エロスだと思うのですが、『黒豹王の寵愛マーマレード』の絡みもすごくよかった……!

もう最高。

攻めのマウリシオが豹頭、ネコ科の獣人?なのですが、ネコ科ならではの「あ、そうそう、そうだった!!!」っていう体の特徴もエロに生かされていて、大変すばらしく……堪能させていただきました。

特殊なプレイはしてないんだけど(野外が1回あるくらい)本当に毎回濃厚で、愛に溢れています。

うーん、満足。

最後まで安心して読めるのが、またいい

作品によっては、主人公がひどい目にあってあまりに痛々しくて「辛い……」という展開もよくあるのですが、この作品はひどい目にあいつつもちゃんと助けが入り、決定的なことにはならないです。

ちゃんと主人公が守られているので、そういう意味でも安心して読めるので、心臓に優しいです。

ハッピーエンドが約束されていて、全体的にやさしい雰囲気なのも良かったな。

スペイン風異国情緒も楽しい

舞台設定はどこか異国の町。

迷路のような街の裏道や、石造りでモザイク模様が施された王宮、広場に集まる商人たち、という描写から、私はてっきりトルコとかモロッコ、チュニジアなどの中東~北アフリカ系をイメージしていたのですが、あとがきを読むとスペインをイメージされているとのこと。

なるほど!

ビスケットにマーマレードを乗せて食べる描写や、マウリシオとリノが食べるいろいろな食べ物など、”食”の描写も楽しくて興味を惹かれます。

 

人外BLは初めてだったのですが、全然抵抗なく楽しめました。

安心して読める、ラブラブ・ハッピーエンドなBLを探している方におすすめです。

あと、濃厚な愛に溢れたエロが読みたい方にも!

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