声優を目指して声優養成所に入って学び、無事事務所に所属ーー。
多くの人が描く夢は、これで終わりではありません。
そのあと「定期的に仕事をしてだんだん有名になって、レギュラーの仕事を増やし、声優の収入だけで食べていけるようになる」のが本当のゴールです。
もちろん、「超有名になる」「CDを出す」「声優雑誌の表紙を飾る」「アニメで主役を演じる」という夢を抱いている人もたくさんいるでしょう。
けれどまずは、「所属して仕事をもらう」を積み重ねていく必要があります。
そしてその合間にも、ボイストレーニングや演技のレッスンを受けて自分を磨き、いつでもオーディションに行けるようにベストな状態を常に更新し続けなくてはいけません。
当然ながらボイトレにも演技レッスンにもお金がかかり、多くの売れない声優は”カツカツ”。
アルバイトや正社員、派遣社員で働きながらレッスンを受け、運よくオーディションの話がもらえれば仕事を抜けてオーディションを受けに行って、もしオーディションに通って役がもらえたら超ラッキー!!!なんです。
けれど、そうやって掴んだ役で出演しても、出演料(ギャラ)が声優の手元に渡らないケースもあるのだそう。
実績のない声優事務所
Aさんは、某声優養成所のドラフトオーディションを受け、ある声優事務所から声がかかり無事所属することができた新人声優です。
その事務所の名前はまったく有名ではなく(私もAさんから聞いて初めて知った事務所でした)、ホームページを見ると所属声優はいるものの、実績はスカスカ。どの声優もほとんど仕事の実績がありませんでした。
当然ながら、アニメのエンドロールで見かけるような有名な声優は一人も所属していません。
調べてみると、昔からある某声優事務所から分離するかたちでできた新しい事務所のようでした。
ほとんど実績のない声優事務所でしたが、Aさんは一応「正式に所属している声優」。
事務所に所属するという夢はかなったことになります。
けれど次のステップが。
それは、「オーディションを受けて仕事を取ってくる」でした。
出演料(ギャラ)が事務所ストップしたまま
Aさんはいくつものオーディションを受け、めでたく端役ではありましたが、ある小さな仕事を得ます。
ドキドキ・ハラハラ・ワクワクしながら収録現場に向かい、なんとか仕事をこなし……
Aさんが収録に参加した作品は無事電波に乗りオンエアされました!
この後、本来ならギャラが支払われるはずです。
ところが、いつまでたっても一向に支払いの連絡がありません。
おかしいと思い、同じ事務所に所属する声優で、同じように仕事をしたことがある人にさりげなく話を振ってみると…
「ここ、ギャラが支払われないんだよ。私も一度もギャラをもらったことない」
という驚きの事実が発覚したそう!
聞くところによると、「あなたが仕事をもらえたのは、『声優事務所に所属している声優』だから。事務所に所属しなければオーディションを受けること自体不可能」というわけのわからない理由で、本来声優がもらえるはずのギャラがすべて事務所止まりになってしまっているそうなのです。
事務所のスタッフに交渉してものれんに腕押し。
おかしいのは事務所だけれど、あまり強い立場に出ると事務所をクビになるかもしれないし、オーディションの話自体来なくなるかもしれない。
それは、まだ全く名前も売れていない新人の声優には大きなリスクです。
その事務所では、ギャラが支払われないことは暗黙の了解になっており、
「とにかく我慢して仕事をしてある程度の実績を作ったら、他に移籍する」ことを全ての声優が目指しているのだと教えてくれました。
Aさんもしかり。
「今は移籍のための実績を作っている」と教えてくれました。
リアルな”事務所情報”を入手する方法
こんな話、まず通常じゃ出てきません。「その事務所に所属している人と知り合い」ならこんな風に聞くこともあるでしょうが、多くの人が知らずに「まだ新しい事務所だし、私にもチャンスがあるかも」と養成所の門をたたいてしまうでしょう。
私がたまたま知ったのが、その「ほとんど実績のない新しい事務所」だったというだけで、もしかしたら他にもそういう事務所はあるかもしれません。
私自身も声優として活動していましたが、私がいた事務所では仕事をした3か月後くらいにきちんとギャラが支払われていました。
ですから、ごく一部の、行ってしまえばかなり悪徳な事務所だったのだと思います。
けれど、声優にあこがれて夢見て所属したのに、入ってみたらこんなにひどい事務所だったなんて、絶対に避けたいところ。
けれど、こんな情報を普通は事前に知ることはできない………
いえいえ、入手する方法があるのです。
生きた、リアルな「声優事務所情報」が。
それが、「先輩とのつながり」です。
声優養成所は2通りあります。
- 声優事務所付属の養成所
- 事務所付属ではなく、卒業時にドラフトオーディションをして所属を決める養成所
声優事務所やタレント事務所の関係者を招いて行われるオーディションで、一部の声優養成所で定期的に開催されている。
生徒は持ち時間内でセリフやナレーションを発表。
それを見て「この人がほしい」と思った事務所がスカウトをする型式のオーディション。
実力や魅力がある人には、10社以上からオファーがかかることもある。
また、このオーディションには大沢事務所や青二プロダクション、81プロデュース、アーツビジョングループ、俳協などの大手声優事務所も多数参加している。
事務所直結の養成所だと、もし万が一養成所時代に「悪徳事務所だ」という情報がわかっても逃げ場がありません。
1年間の学費を払ってしまったけれど翌年別の養成所を受けなおすしか方法がないのです。
けれど、ドラフトオーディションがある養成所なら、その養成所からスカウトされて事務所に所属した先輩とつながれば、リアルな事務所情報が聞けます。「先輩の友達が入った事務所」の話も聞けるかもしれません。
もし、所属した事務所に問題がある場合は、卒業生が学校(養成所)に相談するでしょうから、学校側が情報を持っている可能性もあります。
ドラフトオーディションがある養成所には、いろいろな事務所の「生の、ホットな情報」がたくさん集まるのです。
先輩と仲良くなるには?
- 研修科の時に専科(マスターコース)のレッスンを見学させてもらって、レッスン後に話しかけて連絡先を交換する。
- 研修科に入らず最初から専科狙いなら、専科のレッスンを見学しに行って、レッスン後に話しかけて話を聞いて仲良くなる。
- 養成所の講師・スタッフに「〇〇の事務所に入った先輩に話を聞きたいから紹介して」と頼んでつないでもらう
悪徳事務所に入って、大切な時間とお金を無駄にするのは絶対に避けたいところ。
おすすめは、ドラフトオーディションがある養成所で学校の卒業性から情報を得て、さらにドラフトオーディションを受けて「複数のプロダクションから声をかけてもらい、評判のいい事務所を選ぶ」です。
※悪徳事務所の話は少し前に聞いた情報です。今もそういう状態なのかは不明です。この件でお問合せいただいても、事務所名はお教えできません。
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