声優になる方法

声優になる方法はいくつかありますが、「養成所」→「事務所所属」という流れが一般的です。

ただ、これしか方法がないわけではなく、”他の道”もあります。

事務所直属の養成所に入る

声優事務所81プロデュースが運営する直属する事務所「81ACTOR’S STUDIO」に入所する、というように、事務所直属の養成所に入ってレッスンを受け、所属試験(オーディション)を受けて事務所に所属するという道が最も一般的かもしれません。

「この事務所に入りたい」という強い思いがあるのなら、この道を選ぶのが一番早いですが、「養成所に入って分かったけれど、その事務所と自分のカラーが合わなかった」「自分は事務所から求められる人材(声優)ではなかった」という『どうにもならない』結果になってしまうリスクも高いです。

事務所が求める人材(声優)とは?

声優を真面目にマネジメントし、売り込もうとしてくれる事務所の場合、「すでにいる人材」と似通った素材は求めないことがあります。

似た声質、キャラ、演技をする先輩声優がすでに所属している場合、声優としての自分のスキルがそこそこあっても所属させてもらえない可能性が高いです。

事務所直属ではない養成所に入る

最近増えてきたのがこの方法。

アミューズメントメディア総合学院や映像テクノアカデミアのような、事務所直属ではない養成所に入り、卒業時に各事務所のマネージャーを招いて行われるオーディションに参加し、ドラフト形式で事務所から声をかけてもらうのを待つ道があります。

高校や大学を卒業してすぐにこの方法を選ぶ人は少なく、だいたい「事務所直結の養成所に入る→その事務所に所属できなかった」というループを何度か繰り返した人がこのルートに入るので、年齢層は少し高め。ただし入所した時点でそこそこの実力がある人がたくさんいます。

「自分」という素材を欲しがってくれる事務所に入れるというメリットがある、チャンスが多いという反面、悪徳・弱小事務所に所属してしまうと、事務所主催のレッスンが代が半端なくかかる、作品に出演してもギャラが支払われないという状態に陥ることも。

大手・有名どころから声がかかれば官軍で、可能性は大きい方法です。

専門学校に入る

代々木アニメーション学院や日本工学院など、専門学校に入る方法。

高校時代から「将来はぜったい声優になる!」とはっきりしたビジョンがある人が選ぶ方法です。専門学校では、養成所のような授業が行われます。卒業時には事務所のマネージャーを招いてオーディションが行われ、ドラフト形式で事務所が「欲しい」と思った子に声をかけて運が良ければそこでどこかに所属できます。

ここで所属できなかった場合、狙う事務所の養成所に入ったり、事務所直営でない養成所に入り直したりする人が多いです。

劇団に入る

演劇集団円や劇団ヘロヘロQカムパニーなど、声優業界とパイプがあり、声優の仕事を請け負うことが多い劇団に入るという道があります。

ただこの場合、基本的に「舞台」に出ることが主となるため、「アニメの声優をやりたい」「声のお仕事だけやりたい」という人には向いていません。

演劇が好き、お芝居を基礎から学びたい、舞台にも出たいという人向けです。

私塾に入る

現役声優や引退した声優が主催する塾に入り、直接プロから指導してもらうという道もあります。そこで実力をつけ、先生に気に入ってもらえれば、先生が所属する事務所や繋がりがある事務所を紹介してもらえる可能性があります。

ただ、こういった塾の情報は外にはあまり出てきません。塾の生徒は、その先生が講師を務める養成所に通っている生徒や、その生徒からの紹介というように非常に限られています。

つまり、養成所に入り先生と繋がって個人的に塾のことを教えてもらうか、すでに塾に入っている人を見つけてそこから繋いでもらうかというルートが必要です。

自分で売り込む

ボイスサンプルを作って事務所に自分で売り込みに行く方法。

花江夏樹さんがこの方法で、養成所をすっ飛ばしてアクロスエンタテインメントに所属したのは有名です。

ただ、花江さんの場合は例外中の例外で、彼自身に相当な魅力があり、演技の勘も良く、”聞かせる”ボイスサンプルを作るセンスがあったからで、普通はなかなか難しいでしょう。

どこから声優なのか、何をもって声優とするのか

ここまでお伝えした方法は、民放で放映されるアニメや大手メーカーが作るゲームに出演し、声優雑誌に取り上げられるような「有名な声優」になるための方法。

「声の仕事」という枠だけでとらえて「声優」とくくるなら、声優の仕事を得る道はもっと他にもたくさんあります。

  • WebCMのナレーション
  • YouTubeのキャラクターボイスやナレーション
  • Vtuber
  • 同人作品(アニメやゲーム)の声優
  • 企業PVのナレーション

全国放送のアニメや映画となると、大手の制作会社を通すため大手事務所に所属する声優にオーディションの依頼が来ますが、もっと小規模の案件だと、フリーランスや小さな会社に制作が依頼されることが珍しくありません。

すると、大手の声優事務所に声をかけてオーディションで声優を決めるのではなく、制作会社と繋がりがある個人や地方の小さなタレント事務所や声優プロダクションに仕事の打診が行くことがあるのです。

ITが進化し誰でも比較的簡単に動画が作れるようになり、それを配信できるようになった現在では、「小さな声優の仕事」の裾野が広がりつつあります。

ある程度声優としてトレーニングを積んでいて経験もあり、仕事を見つけるセンスや売り込むセンスがある人なら、事務所に所属しなくても、こういう”小さな仕事”を取っていくことは可能です。

ただ、声優雑誌に載るようなアイドル声優になるのは難しいでしょうが……。

 

歌や踊りもやりたい、アイドルっぽい声優を目指したいという人は大手事務所に所属することが必須ですが、そうではなく、小さな仕事でもいい、名前が売れなくてもいいという人なら、「小規模な仕事をたくさんやる声優」になる道もあります。

「小規模な仕事をたくさんやる声優」になるには?

ただ、いずれにせよ声優としての基礎ができていなければ小規模な仕事を取ることもできませんし、取ったとしても満足してもらえるレベルで仕事をして「あの人に頼んで良かった」「また次があればお願いしよう」と思ってもらえることは難しいでしょう。

声優養成所ではそういった「声優の基本」を教えてもらえる場です。

事務所に所属できる、できないは置いておいて(所属できればそれは万々歳なのですが)、声優になりたければいずれかの養成所や専門学校に入って、声優の基本を学ぶべきです。

もしくは、プロの声優や引退した声優が行う私塾に通うのも良いでしょう。ただ、こういう私塾の情報はなかなか出てこないため、情報を得るためにも養成所に入って講師を務める現役声優や音響監督、演出家、俳優、そして同じ道を目指す仲間とたくさん繋がることが大切です。

そういう意味でも、養成所は「将来、声優になる」「声の仕事をやる」という意味でとても強いパイプを作れる場です。先生はだいたい現役の声優やナレーターです。生徒も、いつくもの養成所を渡り歩いているような「プロ」や、情報をたくさん持っている子もいます。一見普通の子だと思ったら、実は有名な声優の●●さんの私塾に通っている、お気に入りの子だったということもあるのです。

「声優になりたい」と思ったら、まず養成所に入り「つながり」を作るのが、遠まわりに思えるかもしれませんが賢い方法だと言えます。