声優の給料(ギャラ)ってどのくらいなんだろう?
と疑問に思っている人も多いでしょう。
実は今日、掃除をしていたら私の新人声優時代の給料明細……というかギャラ支払い明細が出てきたので、公開のうえ
「これだけしかもらえないんだよ!!!」
という現実をお見せしようと思います。
CMのナレーションのギャラ、額面1万円
このお仕事はとある大手企業のCMナレーション(WebCM)でした。
ナレーションとセリフという構成で、収録は約30分。
指名でいただいた仕事で、収録の2週間くらい前に台本を事務所からいただいたように記憶しています(なにぶん少し前のことなので…)
で、明細がこちら。
じゃーん!!
収録時間30分、CMそのものは1分足らずのお仕事で、ギャラは額面1万円でした。
額面1万円でも、いろいろ引かれて手取りは5,700円……43%オフという現実
30分の仕事で1万円なんて、おいしい!!!
声優って稼げる仕事なんだな~
って思います?
でもこの明細をよーく見たら、そうは思えないはず。
1万円のギャラに対し、事務所のマージンが40%引かれて
残った6,000円に源泉徴収が10%引かれ、消費税が加算されて(当時は5%だったんですね)、私に渡されたのは5,700円でした。
約半分……
30分5,700円なら、それでもいい仕事だよ、稼げてるよ!
と思うかもしれませんが、
この収録のために家で何度も練習して、この日は生活費を稼ぐための仕事(私は当時、派遣で働いていました)を休んで、スタジオまでの交通費は自腹で……
と考えると、
全然、もうかる、美味しい仕事じゃないんだよ!!!声優は!!!
と思います。
新人声優はカツカツ、売れっ子になるまでが本当に大変
お金の面だけで見ると、養成所に入るのもお金がかかるし、個人レッスンに通うのもお金がかかるし……と、出ていくお金(これまで投資したお金)と、お仕事をしてギャラで入ってきたお金を比較したとき、よほど売れっ子にならない限りは出ていくお金のほうが圧倒的に多いです。声優は。
けれど、何かの作品を自分の声で表現する
それがいろいろなところで聞いてもらえる
「自分の声で、お金が稼げた!!」
と思うと、それはとてもすごいことですし、高揚感もあります。
特に、アニメやオーディオブックなどの物語のある作品に関わったときの感動、自分の声でキャラクターが動いたときの感動はひとしおです。
けれど、それまでにかけた準備や勉強やもろもろと、いただいたお給料(ギャラ)が一致しているかというと……
いやいや、声優の持ち出しの方が大きいでしょ!
とも思います。
もちろん、同じCMでもTVCMの仕事ならもっとギャラも高いですし、ランクが上がればギャラも上がります。
人気で売れっ子の声優さんなら、一日に何本もお仕事をはしごして「手取り5700円が4本で、今日の稼ぎは2万円超」ということもあるでしょう。
これならオイシイ仕事だよね。
けれど、そうなれるのはごく一部。ほんの一握りのひとだけです。
でも、お給料をもらったときはすごくうれしい
今あらためて見ると、引かれる金額が大きすぎて
「声優やってたときの私、本当に大変だった……よくやったな」
と思いますが、事務所から「この間のお仕事のギャラが用意できましたから、いつでも取りに来てください」と連絡をもらったときは飛び上がるほどうれしくて、このギャラも、目減りした額のことなんて全く気にせず、大事に封筒に入れてずっと取っていました。
というか、声のお仕事で、演技で稼いだお金はずっと大事に取っておいて、派遣で稼いだお金で生活していました(笑)。
思い返すと懐かしく、自分がかわいく思えます。
新人声優がもらえる給料(ギャラ)は本当に少ない。
でも、それをもらったときは今までの苦労が全部報われたような心地になります。
「夢を壊すようなことを……」と思う人もいるかもしれませんが、これが新人声優の現実。
知っておいて損はないでしょう。
声優を目指す皆さんも、いつかこの「支払い明細」を手にできますように。
※フリーランス声優なら、事務所からマージンを抜かれないので手取りはもっと増えます。
そこそこ実力はあるけれど事務所に所属できない人、事務所に所属したけれどオーディションや仕事の機会にめぐまれない人は、フリーランスを目指すのもアリです。
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